マシーン日記

COCOON PRODUCTION2021「マシーン日記」を観劇しました。初演、再演ともに観ていないので、これが本当の初マシーン日記。自分が観劇にハマっていたのって2005年~2012年くらいなんだけど、ちょうどその時期はマシーン日記の上演がなかったんですよね。もったいないことしてたー。こういうジャンルがすごく好きなので当時見てたらすごくハマっていた気がする。

 

 

大倉孝二さんも秋山菜津子さんも森川葵さんもとても好きで、そこに横山さんという・・・特に秋山さんが大好きなので、横山さんとのカップリングを本当に楽しみに待っていました。

 

ケイコがどんなふうに登場するのかと思ったら、いきなりウーバーイーツのカバン背負って登場したのがシュールすぎてそれだけで笑ってしまったんだけど、壊れてミチオに直してもらった携帯電話の着信音がライディーンなの、懐かしすぎて笑った。これ、若い人に伝わってるのかな。きっと初演のころはこれが最先端であり超定番の着メロだったよね。あとは昭和の懐メロがちょこちょこ出てくるのがよかった。横山さんが歌う巡恋歌・・・いい。心の中でぎゃっ!!!て言ってしまいました。

 

スムースクリミナルを全員で踊りだしてなんだこりゃなんだこりゃって思っていたらまさかのチェーンの使い方wwあの瞬間の拍手は観てるほうも気持ちよかったです。帰ってからマイケルのMV観ました。

 

ミチオはずっと逃げようと思えば逃げられるのにそうしなかった。それは今更どこに逃げていいかわからないし、でもあの街で外に出て生きるには昔の自分を知ってる人が多すぎる、それに本当はあの街が好き・・・というかあの街しか知らないからどこか外の世界へは逃げられないのだと思う。そういうような言い合いをケイコとするシーンが出てくるのだけど、そこでケイコはすべてを察したのかなと思った。

ケイコはケイコであいまいなことを嫌っていたのに、自分自身があいまいな存在となってしまった。でもミチオがケイコの携帯電話を直したときに、「なんで?」と聞いたらミチオは「ほっとけないから。壊れた機械を見るとほっとけない。」と。ケイコはミチオのマシーンでいたらミチオにほっておかれない存在=完全体でいられると思ったのかな。お互い依存というほどでもないのだけど本当に不思議な関係だと思う。ケイコの方が大人で当たり前なのだけどミチオの方が達観してるふうでもあって。

アキトシがプレハブに火をつけて、サチコがミチオの足を切断してしまう。いよいよもうどこへも行けなくなってしまったミチオ。ケイコはミチオのマシーンだから、ミチオを傷つけるものを排除する、だからサチコを殺したのだと思うけど、ラスト、ミチオにもう一度自分に命令しろと言い、ミチオに命令されて本当に街に火を着けるケイコや、それを眺めて「きちがいだ!」って叫ぶミチオがわたしにはどこか誇らしげというか、ちょっと嬉しそうに観えたんですよね・・・あんなに理論的なことこそ正義!って感じだったケイコは結局ミチオのため(でも一応命令させる)という感情で犯罪に手を染めてしまうし、ミチオも自分のためにそこまで動いてくれるケイコを「きちがいだ!」と言いながら不敵な笑みを浮かべていて、心が動いていることがわかった。

 

あいまいなのが嫌い、だから機械が好きと言っていたケイコだけど、その行動は実に本能的で、ミチオのマシーンになりたがったのも、ミチオのマシーンだからミチオの命令を聞くというのも、その根底には自分の寂しさを埋めてくれる存在かもしれないミチオへの愛を直感で信じたのだろうなと思いました。

 

こういった状況の中の上演で、しかも横山さんにおいては直前に感染していて療養期間もあった中でとてもハードだったと思う。横山さんがこの作品にキャスティングされて、横山さんもやる気になって、そして間に合って本当に良かったです。