灰になる前に

北山くんのソロ、「灰になる前に」のMVがユーチューブで公開されています。


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渋谷は北山くんが青春の象徴だみたいなことを話していましたが、わたしにとっても学生時代ほとんど毎日行っていたし、就職しても乗り換え駅だったし、ずっと一番身近な都会っていう感覚。今は職場も自宅も変わり、ヒカリエとかできたあたりからあまり行かなくなりましたが、最近また妙に渋谷が恋しくてちょこちょこ行ったりします。シアターコクーンの帰りに人の少ない、お店が閉まってるのか営業を終えたのか、もう消灯していたり、そんな渋谷を見て、またわたしの知らない渋谷だなあと今年の2月に思ったばかりでした。だからいまの渋谷を撮りたいという北山くんの感覚は共感するものがあるし、北山くんが歩いて撮影した風景は、映るのは数秒ずつではあるけど一つ一つ渋谷を実感できる場所だなと思いました。


灰になる前に、のタイトルから、映像の中で灰を連想するものを考えると、タバコ、ネズミ、ナトリウム灯によってモノクロに見える世界、などなどを思い浮かべ、灰になる前つまり燃え尽きる前、こんな鬱屈とした日々になる前=コロナ禍前のいわゆる普通の日々を思い出せというメッセージを感じました。鏡に映る自分は外側から見た姿、煙草をくゆらせ無気力な目をしている本体は精神かなーと。反転している時にイライラした目をしていたのでそんな風に感じました。この演じ分けがすごい。目の力が全く違う。

 

こんな日々に閉じこもってばかりはいられないというフラストレーションが最大限に達した時に光が部屋に入ってくる。ネズミは色の識別能力がかなり低いようなので、モノクロからカラーに変わる瞬間のRebornの描写が秀逸だなと感じました。ラストのセンター街で這うように手が見えるけどすぐに立ち上がり走り出し、また新たな始まりの場所に佇み音が消えてくの、美しくてどこか切ないのに何かが始まりそうで、とてもワクワクします。と同時に、ペンキにまみれた姿であの場所に立っているの、どんなに不本意な思いをぶつけられても絶対に逃げないという彼らしい前向きさや力強さも感じる。オレンジ?ピンク?の光に包まれるのも、穏やかに燃え始めた心を表しているようで、このラストシーンに感動します。


バンクシーのアンブレララット、わたしはメアリーポピンズ好きなので、お!と思いました。

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どんなに不本意な社会や現実にいても、誰でも自分のファンタジーを持って生きていくことができるし、「ファンタジーや想像力をもって現実は変えることができる」という可能性を示唆している。


「変えていく未来 変えられる未来」という部分にリンクするかなと思いました。

 

ソロでMVを作れる機会も常にあるわけではないでしょうし(実際今回も久々)、そこで自分のやりたいこととか、アイディアとか、やりたいことに満ち溢れている北山くんを改めて知ることができて、嬉しいです。