20150824 青い種子は太陽のなかにある@オーチャードホール

FCで取れなかったチケットはぴあでなんとか引っかかりまして、無事に観に行くことができました。亀ちゃん×蜷川さんなんて絶対に観たいじゃない。亀ちゃんの座長経験はジャニーズ舞台でのものばかりだったし、外部の舞台で輝く亀梨和也絶対に観たいじゃない!!てことで並々ならぬ気合で電話のボタンを押したのが良かったんでしょうか。あとは去年観た「太陽2068」がほんとに衝撃だったんでなんか太陽つながり…というのと、今年の初めに観た野田さんの「エッグ」で寺山修司がキーになっていたからそのつながりというのもあり、観ないという選択肢はありませんでした。それにしてもわたし蜷川作品わりとまぁ何本か観ているのだけど、役が本人のイメージに重なるというか、寄せてくるというか、でも蜷川さん的にはちっともそういうこと思わずにやっているのだろうし、演じる方もそうは思っちゃいないのだろうけど、いい意味で、亀ちゃんなのです。というか亀ちゃんに役が乗り移っているのです。体現する器が亀ちゃん、という感じ。それは高畑さんにも言えました。というか高畑さんの才能が素晴らしいですね。ミュージカル仕込だとしてもあの才能がきちんと発掘されてこうしてブレイクしたことがすごい。ただ歌の上手い子ではない、音が彼女の歌を追っている感じがします。


スラム街の人々のシーンはひたすらに迫力があり、パワフルで、賢治(亀ちゃん)と弓子(高畑さん)のシーンは切なく、その対比が利いている。賢治と弓子の恋が始まるシーンは歌で表現されるのだけど、初々しすぎてソワソワしましたわたし。あとほんとくだらないんですけど亀ちゃんが鞄をいつも小脇に抱えるみたいにして歩いているのがイマドキの男子のクラッチバッグブームみたいでウケた。わたしは亀ちゃんのちょっとハスキーな声が大好きでして、いろいろ歌を歌うのですけどそれがもう本当にせつなげな感じでいいんですよ。なぜ華やかなスターなのにあんな儚げな佇まいができるのかしら。バンクーバーから続いて亀ちゃん意外と昭和がお似合いなんだなと思いました。言葉づかいも本人的には最初ちょっと恥ずかしかったようですが「〜してるのかい?」とかちょっと普段じゃ言わなそうな言葉にきゅんとしました。


マルシアさんの歌も久々聴いたけどそうよね歌手なのよね。バラエティのイメージが強くなっちゃったけど存在感が圧倒的。やっぱりマルシアさんと戸川昌子さんに圧倒されました。人生経験がこんなにも舞台で生きているってすごい。

六平さんはパンフでも亀ちゃんや高畑さんに触れてくれていたけど、太陽2068の時も成ちゃんと綾野くんのことを二人は同い年でこういう役をやっているのがすごくいいって言ってくれていたなぁ、と、何時も若手の俳優を温かく見守ってくださって本当に素敵だなと思います。今回とにかくギラギラドロドロの内容の中で唯一ちょっとくすっと笑えるとしたら六平さん演じる彌平のシーンだったので、一服の清涼剤的な。そんな安心感がありました。


パンフに野田さんからのメッセージもあって、笑えました。わたしは蜷川さんと野田さんの舞台を観ることがやっぱり一番多くて、お二人の暑苦しく雑然とした何かに対する反逆精神的な演出がなんだかんだ好きなのだろうと思います。


蜷川さんの舞台だと何かを築き上げてきた方がたくさん出演しますよね。出演陣だけでなく裏方もそうなのだろうけれど。蜷川作品の主役を演じるということはそれだけでそういう大人にたくさん囲まれて稽古の日々を過ごせる、そして観に来る客層も目の肥えた方が多い。多分その時間だけで随分と階段を上ることができるのではないでしょうか。スポ紙ネタだけど蜷川さんと亀ちゃんはあまり仲良くないみたいなことが出ていたけど、真実はどっちだっていいけどまた亀ちゃんが蜷川さんの舞台に出てくれるといいなと思っております。